中学受験 なんきゅ~ プロ講師なんでもQ&A

カテゴリ:受験生の生活

中学受験で東大を意識すべきか?

現在小6の中学受験生(男子)を持つ母親です。子供のことについて相談があり、ここで質問させていただきます。息子は現在小学6年で中学受験を考えております。私の夫が東大卒でして、やはり息子にも東大を目指して欲しいと思っているようです(夫は工学部卒で、息子にも出来れば理系に進んで欲しいそうです)。ですが、私自身は東大などとは縁のない人生を送ってきたので、東大卒が世間でもてはやされている昨今とはいえ、小学生のうちから机に向かわせて勉強させることが本当に必要なのか、正直疑問に思ってしまいます。しかも、その「もてはやされる」というのも学生のうちだけであって、社会に出てしまえば学歴はほとんど関係ないということは社会人であれば実感する話であって、特に東大にこだわって欲しいとは思いません。夫に聞いてみますと、たしかに社会に出て成功するために東大卒のブランドは必ずしも必要ないが、東大に入るために身につけた忍耐力や論理性は社会的に大きく役立つと最もなことを言われてしまいました。夫の話はたしかに理解できますし、難関中学からそのまま東大に入れれば言うことはないのかもしれませんが、私が中学受験などとは縁がなかったことが原因なのか、小学生のうちから勉強させることに対してどうしても抵抗感を覚えてしまいます。とは言え、中学受験をすると決めた以上、現在はある大手の塾で勉強させていますが、子供も時折友達と遊びたかったり、ゆっくりと過ごしたいというのもあるのでしょう、私に勉強したくないと言います。子供は志望校の志望者のレベルからするとお世辞にも成績優秀とは言えないので、夫はそのような発言を聞くと「このままだと落ちるぞ」と厳しく言っていますが、私自身がその年で勉強していなかった分、息子に無理やり勉強しろと言えないのが現状です。子供は平均的な小学生からすると勉強はかなりできる方だと思いますが、先ほども申し上げました通り志望校のレベルで考えるといまひとつという感じですので、息子も勉強を頑張らなくてはいけないと焦りを感じているらしく、ちょっとしたことで喧嘩になったり、イライラしたりしてしまっています。そもそも中学受験の話も、夫が主体で決めた節がありますので、私としては若干押し付けのように感じられてしまうところがあります。

やはり中学受験をすると決めたからには、心を鬼にしても子供に勉強をさせるべきでしょうか?それとも、本人に中学受験に向き合う意思があるのかをもう一度夫も含め話し合い、最悪の場合受験をやめ、いわゆる普通の公立中学などに進学させるという選択肢を考えてもよいと思いますか?中学受験に詳しい家庭教師、あるいは塾講師の方、もしアドバイスがございましたら、ご回答をよろしくお願いいたします。
この投稿に回答する
回答者
あやめ
回答日時:2019/05/20 12:20:59

視野を広く持ちましょう

中学受験生への学習指導を中心に、進路相談なども承っております塾講師です。お母様は小学生のうちからお子様を勉強に取り組ませることでお子様の自由な時間を奪い、その結果悪影響がもたらされるかもしれないとお思いのようですね。結論から言ってしまえば、それはあり得ます。小学生という時期は他社との関係を自分自身で築いていくにあたって、最も初期の段階です。この重要な時期に勉強によって友人との楽しい体験が減ったり、ゆったりと過ごす時間が減ることになれば、そのことで「どこかに」問題が現れる可能性はあります。


ただし、気をつけていただきたいのは、その「どこか」は誰にもわからないということです。例えば、中学受験に没頭し小学六年生の1年間を勉強に捧げた生徒と受験をせず、近場の公立中学に進学する生徒(このコミュに質問されるような方のお子さんにはいない可能性が高いですが)を比較して、受験した生徒の方が例えばコミュニケーション不足になっていたり、競争原理をより強く意識した人格になる可能性が高いのかと言われれば、それは「わからない」というのが事実です。なぜなら、生徒それぞれの人生において学び、聞き、接した事柄や言葉がまるで異なるからです。それぞれの親も異なれば学び舎も違います。そのような中で、受験がお子さんの健やかな成長に悪影響を及ぼすかもしれないなどということは、誰にもわからないのです。しかしながら、ある工夫をすることによって、受験はお子さんを大きく成長させる機会となり得ます。それは、受験が「自己実現の欲求を満たす経験になる」ということを無意識的に理解させることです。どういうことかと言いますと、お子様が志望校という目標に向かって勉強している時、成績の良さ云々ではなく、努力していることそのものに大きな価値があると気づかせてあげることが重要なのです。努力自体を認めてもらうことで、お子様は努力する自分に自信を持てるようになります。そうすれば、お子様は成績というわずかな期間にしか通用しない基準から解放され、真に忍耐強く物事を考えられる人間へと成長することができます。その能力が身につけば、あとは正しく勉強するだけで成績は勝手についてくるはずです。


ただし、それを実現するためにはご両親が「双方とも」成績よりもお子様の努力を認めてあげられるようになることと、お子様自信が目指すに足りうる目標を設定することが重要です。お母様のご質問を拝見いたしますと、お父様はお子様の努力よりも成績を重視し、また志望校をお子様と十分に話し合われないまま決められてしまった感があります。まずはお父様とお母様が本人の努力を尊重する教育方針を確認し、その上で「親が行かせたい中学」よりも「お子さんが行ってみたい中学」を選んでいただくことが重要かと思います。それでも確かに小学六年生までの知識には限界がありますので、ご両親がお子様に各中学についての情報を積極的に伝え、お子様の興味に合った志望校を選ばれると良いと思います。ただし、中学受験をする以上は、大学までを見据えた選択をしなければなりませんから、どうしても東大合格者数が多いなどの基準をもとに選ばれるでしょう。その基準で特に問題はありませんが、その中でもお子様の意見をよく聞いてあげるという姿勢も忘れないでいただきたいと思います。


結局のところ、生き方は自由です。受験されても、受験をされずにそのまま進学されても、どれが正しくどれが間違いであるというのは存在しません。ただし僭越ながら、私の経験談からして、より高いレベルを目指した方が見える世界や触れられる世界の幅が広がります。それはいろいろな場面で人生を大きく豊かにしてくれる実感だと思いますので、ある意味せっかく中学受験を意識されているのですから、この機会を逃すのはもったいないことだと思います。何れにせよ、以上のようなことを意識されて、ご両親そしてお子様ともどもが納得されるような選択ができますことをお祈りしております。