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カテゴリ:算数

中学入試の算数

現在小六の中学受験生を持つ父親です。この度息子がある難関私立中を受験予定です。成績は志望者の真ん中よりやや上といったところで、特段に苦手な科目があるというわけではないのですが、算数でもう少し頑張ってもらえれば余裕を持って合格できると思います。息子の志望する中学は算数がやや難しく、特に平面図形が多く出ます。以前ネットで平面図形に強くなるにはどうしたら良いか調べていたところ、難関中学志望者は中学のみならず高校の数学まで踏み込んで勉強した方が良いというのを見かけたのですが、本当なのですか?というのも、いくら受験とは言え、流石に高校程度のレベルまで要求されるとは思えないので...。

私自身中学受験にそこまで詳しいわけではなく、受験指導も普段は塾の先生からお話を伺ったり、学校の先生から伺うだけですので、わからないことが多いです。もし高校程度の数学(とはいっても、微分積分などは出ないでしょうから平面図形が主になるとは思いますが)までやった方が良いというのであれば、小学六年生にもわかりやすい数学の参考書などはありますでしょうか?
私なりに高校の学習参考書を調べてみましたら、私も受験生の頃に使っておりましたチャート式や旺文社の総合的研究、あるいは「大学への数学」の分野別参考書など、本当に多種多様でした。あるいは、参考書を買って勉強させるよりは、スタディサプリなどの映像講義を見て勉強した方がわかりやすく、またやる気も続くのではないかということも考えてしまうのですが、その点はどう思われますか?さらには、塾の先生や家庭教師の方に、例えば図形分野のみ、中学受験で使えそうな知識を高校範囲まで教えていただくなど、選択肢は色々考えられそうで困っています。息子は理解力が抜群に良いわけではないと思いますので、参考書のみを使った勉強では高校の範囲は理解できないと思うのですが、そのあたりはどう思われますか?中学受験生を指導しておられる方のお返事をお待ちしております。
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回答者
sf400
回答日時:2019/05/18 18:34:36

中学入試の算数

現在中学受験向けの家庭教師をしているものです。質問者様の質問は高校程度の数学まで身につけておくべきかということですが、結論から言ってしまうとあまりおすすめしません。なぜかと言いますと、灘、開成、筑波大附属駒場など最難関中学の算数の入試問題を見ていただきますと、算数とはいえ、明らかに「知識」よりも「発想」重視、もっと詳しく言えば数についての本質を問うような出題がなされているということです。つまり、これは大学入試で言えば東京大学や京都大学なども同様ですが、各学校が「その場で考える」ということを重視している出題をしている、ということになります。例えば開成中学の算数の問題を見てみますと、そこで問われているのは小学生では到底習わないような高等な数学ではなく、「問題文の条件を正確に読み取る力」および「緻密に計算する作業力」が問われているのだと気づきます。このような力を有しているかを見るために、開成では例年「旅人算」や「線分図」、「逆比」そして「ダイヤグラム」などの出題がなされているのです。

このような出題傾向に合わせて対策を考えるのはもちろん大切なことですが、勘違いしてはいけないのは、出題傾向に合わせた問題がただ解けるだけでは、上記のような能力はなかなか身につかないということです。1つひとつの問題と格闘していく中で、その問題のどこが解く上でポイントになるのかを考えていかなければ、いくらむやみに問題演習をしても、本当の意味での「考える力」はつきませんので、そこは注意していただきたいと思います。

ですが、質問者様のおっしゃる通り、例えば平面図形などは知識がそのまま解法として生きます。質問者様のお子様の志望校では平面図形が多く出るということですので、平面図形のみ高校範囲まで終わらせてしまうのは有効な対策といえるでしょう。その際の参考書についてですが、おすすめするのは「黄チャート」です。黄チャートは主にセンター試験までの数学を対象とした参考書ですので、中学入試の算数までであればこれだけでも十分対応できると思います。高校の数学では、定理の成り立つ条件について、それの必要十分性を考慮しなければなりませんが、平面図形の場合ほとんどの定理が必要十分条件ですので、定理を覚えて使えるようになるまで反復練習を行えば図形については十分です。しかし、他教科との兼ね合いもありますから、高度な勉強はできる範囲で行うのがよいでしょう。

いずれにせよ、最難関中学の算数は知識よりも発想力を重視する傾向にあるということを念頭におき、また学校ごとの出題傾向もことなることを踏まえて、高級な知識を身につけるというよりは、早めに過去問を使いながら発想力を涵養されることを第一に考えていただきたいと思います。

長くなりましたが、以上でアドバイスといたします。また何かありましたら、ご連絡ください。